最終更新時: 2018年10月

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導入

オーストラリアで事業を行う場合、投資、競争、税務などの領域に特化した様々な規制機関による規制に服する場合があります。これらの規制機関は、企業を監督し、法令遵守のための執行行為を行い、消費者を保護します。

オーストラリアは公正かつ透明性のある規制環境にコミットしており、事業を行う上で関係を持つと思われる11の規制機関があります

オーストラリア外資審議委員会 (FIRB)

FIRBは、外国投資政策に関する財務大臣およびオーストラリア連邦政府の諮問機関として、1976年に連邦財務省内に設置された法定外の機関です。

FIRBが担っている役割には、海外からの対オーストラリア投資に係る案件を審査し、当該案件が連邦政府の政策および1975年外資買収法(連邦法)に適合したものであるか、財務大臣に助言を行うことが含まれます。また、FIRBは、投資を検討中の海外投資家や潜在的投資家に対しても、連邦政府の政策に関する情報を提供しています。 

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC

ACCCは、1995年に設立されたオーストラリアの独立した法定機関です。

ACCCの主要な役割は、2010年競争・消費者法(連邦法)を所管することです。

2010年競争・消費者法を運用するに際し、ACCCは、反競争的および不公正な市場慣行を取り締まり、反競争的な企業合併や買収を防止し、製品の安全性や製造物責任についての法律上の規制を執行し、消費者を保護する役割も担っています。 

オーストラリア健全性規制庁(APRA

APRAは、1998年に設立されたオーストラリアの独立した法定機関であり、金融機関を監督し、金融システムの安定性、効率性、競争性を確保する役割を担っています。同庁の規制権限は、銀行、生命保険会社、民間健康保険会社、損害保険・再保険会社、住宅金融組合、信用組合、共済組合、退職者年金基金に及んでいます。

APRAには、金融機関に健全性基準を遵守するよう義務付ける権限があり、必要に応じて、預金者、保険契約者、組合員などの権利を保護するため介入することもできます。さらにAPRAは、調査、介入、公的管理などを行う広範な権限を有しています。

オーストラリア証券投資委員会(ASIC

ASICは、オーストラリアにおいて登録された会社を監督するオーストラリアの独立した法定機関です。

ASICの主要な役割は、法人の設立、事業および経営を規制する法律である2001年会社法(連邦法)を所管することです。また、ASICは、企業経営・金融市場における公正の徹底を維持する責務も担っています。ASICは消費者保護のため、金融商品および金融サービスに関する助言、販売、情報開示を規制する権限を有しています。これにより、ASICは、投資家が信頼性と十分な情報に基づいて投資に参加できるようにすると共に、会社とその機関についての一定の情報が一般に公開されるようにしています。

ASICが有する広範囲の権限には、金融市場の行動規則を定めること、金融商品の発行を差し止めること、会社法違反の被疑事件を調査すること、違反通知を発行すること、個人による金融サービスの提供を禁止することが含まれます。 

オーストラリア取引報告・分析センター(AUSTRAC)

AUSTRACは、マネーロンダリングとテロ資金供与の取締りを目的とする金融情報機関で、テロ資金供与や重大な組織犯罪、マネーロンダリングや租税回避について調査・訴追する権限を有します。

AUSTRAC5つの重要セクター(金融サービス、賭博、賭博、地金取引、送金サービス、キャッシュディーラー)の14,000超のオーストラリアビジネスを監督しており、海外諸国の対応する機関と相互に情報交換を行います。 

オーストラリア証券取引所(ASX

ASXは、1987年に設立された世界有数の金融市場取引所です。ASXが提供するサービスは、エクイティ、デリバティブ、先物、確定利付証券を取り扱う様々な市場における上場、取引、清算、決済など、多岐にわたります。ASXは、シドニー、メルボルン、パース、シカゴ、香港、ロンドンに支店を設置しています。ASXは、ASXコンプライアンス部門を通じて、上場、運用、決済について、ASX上場企業を対象とした独自の上場規則の策定、監視、執行を行います。コンプライアンス部門も、コンプライアンスと執行に関して一定の決定を行う権限を付与されています。

ASXは、ASX上場企業が採用すべきコーポレートガバナンスのベストプラクティスを推奨するために様々な事業者、株主、業界グループを結集する場である、ASXコーポレート・ガバナンス委員会を設置しています。

ASXに加え、ASICとオーストラリア連邦準備銀行が、オーストラリアの金融市場を全般的に管轄する法律と規則について、監督と執行のためのその他の権限を有しています。 

オーストラリア国税庁(ATO)

ATOは、国税庁長官(Commissioner of Taxation)の下、オーストラリア連邦の税制を所管する法定機関であり、個人・事業者の一般所得とキャピタル・ゲインについてオーストラリア連邦政府の徴収業務を所管する機関でもあります。

オーストラリアの所得税法は、主に1986年所得税法(連邦法)、1936年所得税査定法(連邦法)、1997年所得税査定法(連邦法)、および1953年租税通則法(連邦法)のほか、ATOの定める租税規則および裁判所の判例法で構成されています。従業員に提供されるフリンジ・ベネフィットには、1986年フリンジ・ベネフィット税法(連邦法)および1986年フリンジ・ベネフィット税査定法(連邦法)に基づく税制が別途適用されます。オーストラリアの物品およびサービス税に関する法令は、主に1999年新租税制度(物品サービス税)法(連邦法)から構成されています。

ATOは、年度ごとの課税の自己査定のプロセスを運営し、個人や事業者の査定が正しいものかどうかを検証するために無作為に税務調査を実施します。ATOは、タバコ、ガソリン、石油製品およびアルコールに対する物品税の徴収も行います。また、ATOは、高等教育貸付金制度(HELP)や民間健康保険リベート制度も所管し、さらにオーストラリアの退職者年金制度に対する財務規制についても権限を有しています。

オーストラリア連邦準備銀行(RBA)

RBAは、オーストラリアの中央銀行としての機能を果たす法定機関です。

RBAは、以下の主要な機能について、責任を負います。

  • 金融政策–RBAは、政策金利(短期金融市場のオーバーナイト・ローン金利)を設定します。この金利は、その他各種の金利(住宅ローン金利や企業貸付金利)に影響します。RBAは、価格安定、完全雇用、経済発展を維持することを責務としています。この責務を果たすにあたって、RBAは、オーストラリア経済のインフレ率を中期的に2~3%に維持するための金融政策を策定します。
  • 市場操作–RBAは、金融政策機能の一環として、政策金利目標を設定するとともに、公開市場操作を通じて政策金利をその目標値に可能な限り近い値に維持しようと努めます。またRBAは、定期的に為替市場や外国資産市場における取引を実施するとともに、オーストラリアの外貨準備高の管理も行います。外貨準備高は、為替市場や国内現物市場の政策操作を下支えするために投入されることがあります。
  • 金融安定–RBAが負う長期的な責任の一つは、金融システムの安定性の維持です。RBAは、金融システムの混乱が発生するリスクを軽減することと、発生してしまった金融システムの混乱に対処することという、両方の役割を担います。
  • 決済&インフラ–RBAは、決済システム委員会を通じて、決済システムの効率性と競争性、そして金融システムの全体的安定性の推進に寄与する権限を有しています。RBAは、金融市場における取引の清算と決済を支えるインフラが、金融の安定を促進するように、公的規制権限を行使します。
  • 金融サービス–RBAは、オーストラリア連邦政府、政府機関、海外の中央銀行、公的機関に対して、幅広いバンキングサービスを提供しています。RBAは、オーストラリアの中央銀行として、連邦政府の中央口座を管理し、連邦政府や政府機関に取引に関するバンキングサービスを提供します。

オーストラリアエネルギー規制機関(AER)

AERは、エネルギーの卸売・小売市場とエネルギーネットワークを規制する機関で、エネルギー関連の法規制を所管し、違反を調査して遵守のための執行を行います。

電力ネットワークと天然ガスパイプラインについては、AERが定める価格の上限があります(ただし、この上限が実際の小売価格になる訳ではありません)。

AERは、エネルギー卸売市場の規制機関として、エネルギーの供給と価格、需要予測、配送の制限、市場参加者の入札、生産能力と余剰の予測を監視します。

また、AERは、2010年競争・消費者法(連邦法)のもとで生じるエネルギー関連の問題について、執行や企業結合審査を含め、ACCCを補助する役割も担っています。

オーストラリア知的財産庁(IP Australia

IP Australiaは、オーストラリアにおける知的財産権の登録と、特許権、商標権、意匠権、育成者権に関連する法律を所管する連邦政府機関です。IPAustraliaは、連邦産業革新科学省(Department of Industry, Innovation and Science)の一部門ですが、財務に関する事項については同省から独立して活動しています。IP Australiaは、特許局、意匠局、商標局を包含しています。また、IP Australiaは、世界知的所有権機関(WIPO)と協力し、多国間条約の締結を通じて知的財産権制度を強化することに資する責任も負っています。

.auドメイン管理機構(auDA)

.auドメイン管理機構は、.auのドメイン・スペースの自主規制業界団体として、1999年に設立されたオーストラリアの非営利法人です。ドメイン名に関する規制権限は、1997年電気通信法(連邦法)に基づいてオーストラリア政府が有していますが、オーストラリア政府は2000年に.auのドメイン・スペースを管理するのに適切な機関として、auDAを公認しました。auDAの主要な役割は、.auゾーン・ファイルを管理し、それを最新かつ常に利用可能な状態に保つことです。また、auDAは、ドメイン名に関するポリシーを策定・実施し、ライセンスを付与し、消費者保護施策を実施し、.auに関する紛争解決を促進します。 

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